金属に穴を開ける――そう聞いた瞬間に「お、ついに俺も“金に属する人間”、大金持ちデビューか!?」と一瞬テンション上がりました。……でも現実はただの鉄板。財布の厚みは増えず、ビットの消耗だけが増えます。どうも、マヤキータです。
実際、金属に穴を開ける作業はDIYの中でも難易度が高め。木材や石膏ボードより硬く、摩擦熱も大きく、ビットの寿命も短くなりやすいのが特徴です。だからこそ正しい工具と正しい手順を知っていれば、初心者でも安全にチャレンジできます。
この記事では「金物の穴あけと固定」に特化して、初心者が押さえておくべき基本を解説します。
金属穴あけの基本ポイント
- 素材の硬さを確認
→ 鉄・ステンレス・アルミなどで難易度が大きく違う。アルミは柔らかいので初心者向き。 - 金属専用ビットを使う
→ 材料別ドリルビット辞書(完全版) を参照 - 潤滑油は必須
→ 摩擦熱を下げ、刃先を長持ちさせる - 低速+一定の押し圧
→ スピードを上げすぎると焼き付いて一瞬でダメになる
金属に適したドリルビット
- HSS(ハイス鋼)ビット:鉄・アルミなど一般金属用
- コバルトハイス:硬いステンレスにも対応
- 超硬ビット:厚板や大量加工向け(プロ寄り)
- ステップドリル:薄い板金の穴あけに便利
→ 詳しくは 材料別ドリルビット辞書(完全版) をチェック。
穴あけの手順
- 位置決め:ポンチ(尖った工具)で軽くへこみを付ける
- 下穴を開ける:いきなり太い穴を開けず、2〜3mmから段階的に
- 潤滑油を注す:タッピングオイルなどを適宜追加
- 低速で一定の力:切り粉(削りカス)が出るリズムを感じながら進める
- バリ取り:裏に出るギザギザをヤスリや面取りカッターで整える
固定方法(金属同士・異素材)
1. ボルト+ナット
基本の仕組み
ボルトを穴に通し、ナットを締めて固定する方法。金属同士の接合で最も一般的。
寸法の注意(インチ と ミリ)
ボルトやナットには「メートルねじ(ミリ規格)」と「インチねじ」がある。
→ 見た目が似ていても互換性がないため、必ず規格をそろえる。
ワッシャー(平座金)を使う理由
ナットやボルトの頭が材料に食い込むのを防ぎ、荷重を分散する役割。
ただし「緩み止め効果」は弱い。
スプリングワッシャー(ばね座金)
緩み止め用に使用される。ナットと座面の間で弾力を発揮し、振動での緩みを軽減する。
ただし最近では効果が限定的とされ、ナイロンナットや専用緩み止め剤と併用されることもある。

緩み止めの工夫
- スプリングワッシャーを追加する
- ナイロンナット(セルフロックナット)を使う
- ネジロック剤(ロックタイトなど)を使う
2. ドリルビス(セルフドリリングスクリュー)
- 先端がドリル形状になったネジ。
- 薄い金属なら下穴不要でそのまま打ち込める。
- 厚板では下穴を開けてから使うと確実。

3. リベット(ブラインドリベット)
- 「カシメ」とも呼ばれる。裏に手が入らなくても固定できるのが最大のメリット。
- 2枚の板にフランジより0.1大きい穴をあける。
- フランジ側を穴に入れる。
- リベッター(専用工具)で芯を引き抜くと、金属ピンが広がって抜けなくなる。
- DIYではアルミ製が扱いやすい。

4. タップ(ねじ切り)
- 金属にネジ山を作る工具。
- 板厚 2mm以上 なら実用的に使える。
- 下穴径が重要(例:M6なら5mm下穴など)。
- 潤滑油を差しながら「回して → 半回転戻す」を繰り返すのがコツ。
- 応用
- ネジ穴が潰れた時 → タップで切り直す
- リコイルキットを使えばネジ穴を復旧可能
- オス側(ボルト)のネジ山復活は「ダイス」という道具で対応できる
初心者向け解説
上の板:バカ穴(通し穴)
- ネジ径より少し大きめの穴。ボルトがスルッと通るようにする。
- 例:M6ボルトならバカ穴は6.5mm程度。
下の板:タップ穴(ねじ穴)
- ネジ径に合わせた下穴を開けて、タップでネジ山を切る。
- 例:M6ボルトなら下穴径は約5.0mm。
- 板厚が2mm以上あることが望ましい。
組み合わせ例
- 上の板:バカ穴
- 下の板:タップ穴
→ ボルトを通して下の板に直接ねじ込む。ナット不要でスッキリ固定できる。

使用する電動工具
- ドリルドライバー:初心者向け。小径穴なら十分。
- インパクトドライバー:貫通固定やドリルビスに強い。 → インパクトとドリルドライバーの違い(工事中)
- ボール盤(プロ領域):安定・垂直に開けたいときに便利。
注意ポイント
- 金属粉は鋭い! → 保護メガネ・手袋は必須
- ビットは消耗品 → 焼けたり欠けたら交換
- ステンレスや厚鉄板は無理をせず →専門業者に依頼
まとめ
金属への穴あけは「専用ビット+潤滑油+低速」が鉄則。
固定方法も、ボルト・ドリルビス・リベット・タップなど状況に応じて選びましょう。
初心者はまずアルミや薄鉄板から。慣れたらステンレスや厚みのある鉄板にも挑戦できます。
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